身体表現のじかん

ダンスは生と共に。

音  ~音の共有~

久しぶりの更新です。

というのも2週間ほど、「北尾亘クリエイションWS@オンライン」に参加しており、こちらにエネルギーを割いておりました。

こちら既定プログラムは終了しているのですが、今後また動きがありますので、後日触れたいと思います。

https://www.instagram.com/p/CBA7RYRF7np/

模索実験中①アングルで遊ぶ②仕事を元に動く#日本海

さて、今回は音の話をしたいと思います。

 

     音。

 

このとてつもなく大きな存在を、少しずつ解説していきます。

 

手始めに、音の分かりやすい効果として、時間感覚の共有を挙げますね。

タイムキーパー的な役割です。

 

これは群舞の場合だと分かりやすいです。

ダンサーさんの間で、「この音が聞こえたら、〇〇する!」というように計画を立てるのです。

例えば無音の中、みんながおんなじカウントを心に刻んでいても、タイミングが双子の動きのようにピッタリ揃うことは、人数が多ければ多いほど難しいでしょう。(しかしそれはそれで素敵なパフォーマンスになりますね!)

そこで、曲をかけるなどして音を鳴らすと、合わせたいタイミングが客観的にわかります。複数のダンサーさんが、それぞれに刻むバラバラの時間感覚を、そのタイミングでリセットできるとも言えます。

音と動きの一致は、観客にとっても、大きな感動が生まれるでしょう。

このことは、次に挙げる効果にも通じます。

 

それは、音が風景を表すという点です。

この風景という観点は、岩渕貞太さんがインタビュー内で言っていたものです。

以下、インタビューから抜粋です。

 

「僕は基本的に物語や人の感情的な部分と踊りを繋げて作品をつくることはしません。でも身体だけでは何も立ち上がってこない。そこで空間と僕の身体に音楽を加えることで、何らかの「風景」が立ち上がってくるのではないかと考えました。物語に沿って見える情景でも、僕個人の感情でもなく、身体と音楽、明かりや音響も含めた空間があることで、どんな「風景」が表れるか、それを追求することにトライしたいと思いました。」

(『アーティストインタビュー 岩渕貞太』https://performingarts.jp/J/art_interview/1204/1.html

 

身体も音も明かりも、風景を成す要素として、同等に捉えていることが分かります。

ダンサーと観客が、風景を共有する。

音にフォーカスを当てると、同じ音を聴いているということです。

 

音を聴くって、それだけでもう立派な身体活動だと思うのです。

ダンスしていない観客たちも、同じ聴覚刺激を受けて、身体が反応しているはずです。

聴いて身体が反応することは、脳科学的観点からも証明されています。

「音楽にふれることで、感情脳、つまり大脳辺縁系が「楽しい」「うれしい」「気持ちいい」といった快い刺激を受けます。

 するとその情報が、全身の調節機能を持つ動物脳=自律神経系に伝わります。

 自律神経系は、その「快」の情報に反応して、今度は体にも同じ「快」の状態をつくろうとして、快楽ホルモンの分泌などのさまざまな変化を起こすわけです。」

ショパン『脳にうれしい音楽のチカラ~アンチエイジングの黄金律~』佐藤富雄より「第4章 音楽はアンチエイジングの特効薬」P.107~P.108)

 

この引用では、「快」というポジティブな感情を例にとっていますが、ネガティブな感情にも当てはまる構造でしょう。音によって感情が喚起されると、脳がホルモンを分泌し、身体に影響を及ぼすことが分かると思います。

 

観客は音を聴くことによって、ある感情が喚起される。

しかし目の前のダンサーが、その感情と相反する動きをしていたらどうでしょう?

このダンサーは、果たして「快」なのか否か。。。等と、観客はぐるぐる考えてしまうのではないでしょうか。

 

あなたなら、どのようにこのぐるぐるを操作しますか?

ここに、あなたの創造性を発揮するひとつのポイントがあると言えますぜ。

(つづく)