今回は、現在の私の活動の一部をお話します。
と言っても、友人と実験をしているというお話です。発起人であり研究主体は、友人の家崎萌さんです。(前回も登場しました!)
彼女の表現手法は、彫刻などの立体作品です。しかし、この新型コロナの影響で、作品を作る場所に行けなくなってしまいました。
工具や重機等の道具や、大きな材料といった、作品制作に関わる専門的な物たちが使えなくなりました。
一方の私は、身体さえあればどこでも踊れます。自粛期間でもオンラインによるレッスンを受けたり、スタジオが閉鎖して駄目なら、外で踊ったりします。
このように自粛期間において、ダンスやパフォーマンス業界もそうですが、美術界も面食らってます。
作品を作る問題で言えば、
美術は、特別な道具が必要だというのに対し、ダンスや身体表現は身体さえあればすぐ表現できる。
当然、美術の方は身体表現より瞬発力が劣りますよね。
少し昔の話をすると、私たちは過去に何度かコラボで作品を発表して来ました。簡単に言うと、萌さんの立体・平面作品が設置された空間で、私が踊るということです。萌さんの作品に触ったり、手に持ったりして物を移動させることもあります。
私と萌さん。表現手法の異なる2者は、
・完成された作品を設置して魅せる
・ライブで表現したものが完成形
というように、完成するタイミングが異なる点で対峙しています。物質的に捉えるならば、萌さん→私の順で作品が完成していることになります。ここに、萌さんは行き詰まりを感じていました。
一方で、完成作品を設置する以外で、自身の美術と身体表現のコラボができないだろうかと、興味がありました。これはお互いに。
さて。話を現代に戻すと、
道具を使えない。
人と会えない。
この状況下で、できる制作って何か。
立体作品を作る人間として、萌さんは考えました。
ここで、彼女が思い出したのが、留学先のチェコで体験した交換創作なるものでした。(ここでまた少し前話。昔話ではなくてね)
それは、ひとつの場を共有している仲間と、順々に作品にその場で手を加えていくというものでした。しりとりの様な要領です。手を加えるというのは、特別にアート表現をするだけではありません。
声を発するもあり、そこに置いてあるものを取っ払うもあり。時間にも制限がありません。何でもアリです。
前の人が積み重ねてきた痕跡を見つつも、自分のターンでそれを受け取ったときは、自分の好きなように変えて良い。100%自分の世界を出して良いのです。
自分のターンのときは、妥協なしで表現して良いのですよ。次の人への遠慮も要らず、そのまま明け渡す。そのため、「共同制作とは違う」と萌さんは言います。
加えて、この交換創作の面白さは、手を加えた人の意図と、次に受け取った人の意図が異なったものになるという点でした。
「共同制作とは違う」と言った最たる理由はここにあります。
なにかの目標やコンセプトをひとつ決めて、みんなでそれに向かうわけでは無いのです。
各々でコンセプトを、ターンの都度に見出していきます。
作る時間が終わった後、何を考えながら手を加えていたのか、仲間とお互いに打ち明けると、三者三様に違うそうです。
そのギャップに、萌さんは面白みを感じ、この期に及びやってみようと考えました。
出来上がった作品より、むしろ終わったあとのフィードバックに惹かれたそうです。
このような経緯を経て、私に「ちょっと遊んでみないか」と話を持ちかけてくれました。
今後しばらくは、萌さんと私とで、一緒に交換創作をしていくことになりました。
プロジェクト名は、『一畳project』✰
萌さんと私との、新たな制作活動でもあります。
その名の通り、共通に手を加えていくフィールドの大きさを、一畳としました。自粛期間でも、日常的に部屋にある大きさで、一般的に共通認識できる大きさとして、定めました。
設定上は、お互いに会わなくてもその場に行けば手を加えられるということになっています。
このプロジェクトで新たな作品をこしらえることもしません。使えるのは、日常のもの。今まで作ったもの。身体。です。
実際に制作していく会場(一畳)はこんなところです↓
1畳がたくさんあります!
さてどの1畳でしょうか??
私たちはお互いに対面できる距離にいます。この実験では研究も兼ねているため、記録もします。
撮影用カメラと日記↓
交換創作中、日記は相手に見せません。フィードバックをする最後に見せ合います笑
今現在何回かターンを繰り返しました。
今後どうなっていくのか、未知の楽しみがあります。
また報告します✰